社会人を振り返って 12

<初日>

 

初日の朝会はなかなかにシビアなものでした。

当時20名くらいいるメンバーが、その日の行動予定、昨日のトピックスを発表

するのですが如何せん雰囲気が悪い。

 

メンバーが情報を発信しているにも関わらず

下を向き、相槌もなければ目を合わせようともしない。

「一体なにが起こってるんだこの組織は」と不安になりました。

私以外にもう1人転勤者がいたので最後に紹介をしてもらいましたが

あまり歓迎ムードはなく奇妙な朝会は終わりました。

 

席に座ってもそんなに話しかけられる訳ではなく

すぐに引き継ぎの打ち合わせ等に入りました。

引き継ぎ程度しか会話もなかったのでそれでもありがたかったことを覚えています。

 

引き継ぎの中で色々話を聞かれました。

私が異動前にいたグループは表彰者が多く、営業部の中でも優秀なグループでした。

そのため、当時業績が芳しくなかったそのグループからはどんな奴が来るのだという

目で見られてようです。

そして同期のYからも引き継ぎがあったのですがその際に

大変なグループの状況を色々と教えてもらいました。

 

過去にメンバーに不正があり課長が降格になったこと。

グループを取り巻く不信感。

異様に厳しい庶務さんに対してみんな顔色を伺っていること。

過去に転勤してきた方があっという間に別事業部に異動となったこと。

 

私はその時正直に思いました。

「やばい所にきてしまった。俺も半年後にはクビか」

 

ただし少し光もありました。

お客様を引き継ぐ際前任者の営業のレベルが高かったことです。

お客様との関係性や、提案内容。

それは以前いたグループにはない新鮮なものでした。

後になると分かるのですが

それ以前よりも定量的な提案が求められるマーケットとなっていました。

 

あっという間に1日が終わりました。

その日に早速歓迎会ということもなく、私は1人ひっそりとホテルに戻りました。